INTERVIEW

独自開発と異業種との共同開発両輪で
岸 秀樹 技術・設計開発部長

技術開発面での旭コンクリート工業の強みは。

当社の技術開発は、時代のニーズに応える製品を自社で独自開発することと、異業種、とくにゼネコンとの共同による製品開発の2つを両輪として取り組んでおり、双方を継続して取り組んできたことによる蓄積が当社の強みになっていると考えている。
独自開発した製品については、日本PCボックスカルバート製品協会をはじめとした各団体の会員会社に技術信託を行っており、これらの各団体の会員会社に新しい技術を提供し続けることは業界の発展にとても重要だ。ゼネコンとの共同開発の場合は、技術力の高いゼネコンとの共同作業により当社の技術力の底上げが図れるほか、業界のPRにもつながることなどもメリットとなる。今後も独自開発と異業種との共同開発の双方に注力していきたい。

技術開発を推進するにあたって必要なことは。

新しい技術・工法を開発できたとしても、その後に実用化や事業化など様々な課題が生じてくるため、どのように技術を改善・改良していくかが重要だと思う。
また、ニーズをいち早く捉えていくことも必要だ。日本道路協会や日本下水道協会、道路プレキャストコンクリート製品技術協会(RPCA)などの規格や指針の策定・改訂内容を把握して、技術開発に生かしている。

最近の開発製品について。

近年普及が進んでいるのは、東急建設との共同開発による「PPCa(パーシャル・プレキャスト)ボックスカルバート」と独自開発した雨水貯留施設「新ボックス型アグア」だ。ともに審査機関での建設技術審査証明を取得しており、実施工での採用も着実に進んでいる。
PPCa ボックスカルバートは、現場打ちボックスカルバートの側壁と頂版を部分的にプレキャスト(PCa)部材に置き換えた製品。現場打ちの断面諸元を変更しないため構造計算の再計算が不要で、PCa 化による工期短縮も実現している。
従来技術では継手を配置できない塑性ヒンジ区間を含め、同一断面に継手を配置した場合でも耐震性を有している点が、この技術の最大の構造的特長となっている。

PPCa ボックスカルバートは昨年に初めて渋谷駅周辺の地下道工事で採用された。

CIM(3D 図面、3D プリンタ)を駆使しながら机上で施工方法を検討し、試験施工で検証、課題の抽出、解決、を繰り返し実施したものの、実際に施工してみると課題が生じ、解決に苦慮することもあったが、製造部門、施工部門をはじめ他部門との連携により無事に完了することができた。
あらゆる観点から課題を最小限に抑えるためにも、今後も他部門と密接に連携して開発に取り組んでいきたい。
技術開発の成果は、普及・活用されることが重要だ。PPCaボックスカルバートも東急建設や当社だけでなく様々な現場で活用できる体制を整えるとともに、様々な指針類に掲載されるよう、適用範囲が拡大できればと考えている。

今後の技術開発の方向性について。

防災・減災、国土強靭化といった観点から維持管理に注目が集まっている。新規に開発した製品についても維持管理方法や耐久性が問われるようになってきた。当社はボックスカルバートの技術を応用した様々な製品を開発してきたが、これらの維持管理を含めた品質管理方法をテーマに技術を改良・改善し、品質向上に努めるとともに、維持管理方法の提案を行っていきたい。
ボックスカルバートは下水道分野などで減少傾向にあるものの、道路分野の大型ボックスカルバートの需要は今後も見込めると考えている。大型ボックスカルバートは現場打ちで発注されることがほとんどで、プレキャスト(PCa)化を提案する余地は大いにある。ゼネコンもPCa 化について注目している状況にあることから、引き続き、当社の強みを生かしたボックスカルバート製品の開発に取り組んでいきたい。
また、建築分野も PCa 化が進みつつあることから、こうした分野でも当社の技術を生かせるのではないかと考えている。

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